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社会との関わり

ヒゲオ

「この教材では問題を変えることで新しいテーマを見つける方法を教えているけど、この方法は数学でなくても使えるのじゃ!」

ピョン

「本当にそんなことできるの?」

ペンタ

「そんなことができたらいいね。」

ヒゲオ

「数学は科学の基礎と言われていて、自然科学や社会科学のために役にたつ。だから、数学で新しいことを発見できたら社会には貢献できる。しかし、応用されるのはずっと後の時代かもしれない。しかし、 私たちが教えている方法は、もっと身近なところでも役に立つのじゃよ。その例を見てもらおう。」

総務省で採用された私達のアイデア

総務省は統計データや統計APIを活用したアイデアコンテスト「STAT DASHグランプリ2016」を開催しました。そのときに、総務省が求めていたことは、問題として次のようになります。

問題

総務省には膨大な統計データがある。これを効果的に活用するアイデアを出す。

総務省がこのようなコンテストを開催したことは初めてでしたから、多くの人が興味を持ちました。そして、応募してきたのは、データサイエンティストと言われる人達でした。

書類選考で本選に残ったのは、京都大学で教えているデータサイエンティストのグループ、IT企業でデータを扱っている人のグループ、元々総務省でデータを活用していて、現在は大学で教えているデータサイエンティストのグループもいました。

私達のグループは、本選に残った唯一の学生グループでしたが、私達は与えられた問題を次のように変えていました。

私達の改変

総務省には膨大な統計データがある。これを中学生でも活用できるようにするアイデアを出す。

私達のグループは、自分が中学生だとして、総務省のデータを使おうとすると、かなり難しいことはすぐにわかりました。このときに、参加していたのは高校1年生でしたから、実質的に中学生とはあまり差がなかったと思います。 また、中学時代に図書部に属している人が多かったので、図書館で活動していた経験があったので、中学生が使いやすくするには、こんな方法が良いのではないかというアイデアが色々出てきました。中学校の図書館の司書の人の意見も聞いたり、中学の社会の先生の意見も聞いて、だんだんとアイデアをまとめていきました。それを「小中学生のための統計情報ポータルサイト「e-Stat Junior」の提案」としてまとめたのです。

コンテストの結果は、私達のグループが総務大臣賞を受賞しました。そのとき、グループの中心メンバーは高校1年生でした。そのときに、一緒に競い合った大学の先生や、企業のデータサイエンティストから、「君達の提案は非常に素晴らしい。よく考えると、総務省の統計公開サイトは、専門家の私達でも理解しにくいものだった。」と言ってもらいました

私達は、自分達の提案したデータ公開方法を総務省で実装して欲しいと強く思っていたので、総務省にもっと詳しく説明したいと申し出をしました。そして、総務省から招待してもらって、総務省統計局の人達20人ほどの前で、詳しい説明と、質疑応答を行いました。

私達の提案が実装されたのは、2018年の初頭で、【キッズすたっと~探そう統計データ~】というサイトとなっています。 https://dashboard.e-stat.go.jp/kids/  

それから少しして、それを高校生用にしたサイトを総務省が作りました。

紙相撲

問題

紙で作った力士を2つおいて、机をトントンと叩いて、力士を前に進めて、相手の力士を倒すか押し出す。

私達の改変

 タブレットの画面に力士を2つ出して、画面をトントンと叩いて、力士を前に進めて、相手の力士を倒すか押し出す。

私達のグループの一人が、紙相撲というものを見て面白いと考えて、机の上でする「紙相撲」をiPadの上で行う「紙相撲」に変形して、同じく、WWDC(Apple世界開発者会議)に20才以下の日本人として初めて招待されました。このタブレット上の紙相撲は、ゲームとしてアップルのストアからダウンロードできます。紙を使って行うことをタブレットに移すということは、意外に多くないのです。 学校などでタブレットを使うと、紙で読む代わりに、画面で読むというような使い方をすることがあります。それではタブレットの価値はあまりありません。 私達が考えたのは、紙で行う動作を、タブレット状で行うということです。動作を含めて、紙からタブレットにすると、いろんな応用ができます。

アメリカンフットボールチェス

 昨年のことです。ある生徒が入部してきてプログラミングを学びました。そして、ある程度プログラムを作る力をつけたので、何か作ってみようということになりました。彼はチェスのソフトを作ろうとしました。彼がやろうとしたことは、問題としては次のことになります。しかし、すぐ考えたらわかるように、世界のどこにでもあります。顧問の先生が「このクラブでは誰もしないことをする。どこにもないチェスを作りなさい」とアドバイスしました。

問題

 タブレットの画面でプレーできるチェス 

改変

 タブレットの画面でプレーできる アメリカンフットボールチェス 

彼はチェスのルールを変形しようと考えたのですが、元々アメリカンフットボール部のプレイヤーだったので、アメリカンフットボールチェスという、ボールをパスしてゴールラインを超えたら勝つというゲームを作りました。このゲームはApple社に認められて、彼はWWDC(Apple世界開発者会議)に20才以下の日本人として初めて招待されました。このゲームは、アップルのストアからダウンロードできます。

心理学の検査用アプリ

 アメリカンフットボールチェスを作った生徒は、大学で心理学を専攻しましたが、心理学科の1年生として、何か新しいことをしたいと考えました。研究室へ遊びに行ったら、心理検査用のプリントがいっぱいありました。それを見て彼は、考えました。

問題

 心理学の検査ができるプリント 

改変

 心理学の検査ができるタブレット 

実際には、プリントをそのままアプリとして読むということではありません。心理学の検査の中には、タブレット上で指で図形を描いたりして行うと紙よりもうまくいくものが多数あることがわかりました。 今、この生徒は大学の心理学科の教授と協力して、心理学検査用アプリの開発と販売を始めている。