Statement by teacher
高校生と共に数学の新しい定理や公式を発見することに取り組んでいます。発見したことは論文として、学術誌に投稿します。それが掲載されたら研究が完成します。
16年前に、私の授業内容を基にして、新しい公式を発見した生徒がいました。それからも何人かの生徒による発見があったのですが、それらはあくまで偶発的な出来事のままでした。しかし6年前に、数学研究に興味を持つ生徒を集めて、長期的な視野を持った研究活動を始めました。
数学の一番の面白さは問題を解くことではなく、問題を自ら設定して、新しいことを見つけることです。問題を解く能力と問題を見つける能力はあまり比例しないし、発見する力は高いのに、教科書レベルの数学で苦労する生徒もいます。このことは他の教科を考えると驚くに値しません。素晴らしい詩や小説を書く能力と、難関大学の国語の入試問題を上手に解く能力が比例しないことは誰でもわかります。
数学研究の活動というのは、なかなか集団の気持ちを盛り上げていくことが難しいです。グループとしてのやる気を作るには科学コンテストに参加することは有効な方法です。コンテストに向けて、相談しながら、資料を用意したり、プレゼンテーションの準備をしていくと、やっと皆のやる気が出てきます。
このようにコンテストで皆の気持ちを盛り上げて、部の活力を高めて研究を続けます。最終目標は、大学の研究者と同じ扱いで学会誌に論文が掲載されることです。そうなれば、自分たちの発見が次の世代に残る可能性ができます。学会誌の場合は、それぞれの学会によって方向は違うものの、評価はかなり正確です。是非私たちの発見した公式や定理を残したいです。
2012年3月 関西学院高等部数理科学部顧問 宮寺 良平